【横浜熱闘倶楽部】田中隼磨インタビュー

 −東アジア選手権代表選考前の7月16日の新聞紙上において「(代表の)将来を考えたら競争は必要。選んで貰えたら(現代表の)加地選手と激しく競争します」と「公約」を発表してらっしゃいました。メディアを通して選手側からアピールされるのは珍しいと思うのですが一体どうして?
 チームで結果を出していくのは大切なのですが、それだけで十分だとは考えていません。現状で満足してしまうのが不安ですし不満ですし。もっと自分の持っているいろいろな「扉」を開けていきたいんです。
 
 −前回お話を伺いました山瀬選手は「世界で一番の選手になる、という究極の目標の過程として、ワールドカップを経験したい」とコメントされていましたが、田中選手にとっては?
 キャリアの大きな目標として海外移籍、チャンピオンズリーグへの出場を設定していますが、ワールドカップはそこへ至るために越えなければならない「高い山」のひとつです。その山の「頂上」に辿り着くためにも、まずは代表に選ばれないと・・・
 
 −残念ながら東アジア選手権では、チームとして好調だったサンフレッチェ広島の駒野選手が、同じ右サイドとして新たに代表入りを果たしました。同じ時期にF・マリノスも上位だったら・・・と悔やまれるのですが?
 いえ、そういう考え方はしていません。実際下位チームからも選出されていますし、自分が選ばれないのはジーコの求めるプレイに対して足りないものがあるからだと思います。チームの好不調も多少影響はあるのかも知れませんが、そんな中でもコンスタントに良いプレイができてこそ「本当の実力」でしょう。
 今はただ、精一杯の結果を残し続ければ代表のチャンスはやって来ると信じて努力するだけです。

 
 −終盤調子を取り戻しましたが、今季F・マリノスは無冠で終わってしまいました。何が不調の原因だったと?
 一言で言及するのは難しいのですが、A3カップアジアチャンピオンズリーグの重なった4月と5月の過密日程のツケが、一気に夏場に来たのは感じていました。ですが現在のF・マリノスは日本で一番素晴らしい選手層を持つチームです。例え怪我人が出ても疲労が蓄積していたにしてもそれを言い訳にできませんし、自分自身もしたくない。結果が残せなかったのは、「チーム」として力が足りなかった事に尽きますね。
 ここ2年連続優勝を果たし、良い時が続きましたが、ずっと勝ち続けるなどというのは何事にもあり得ません。良い時もあれば悪い時もある。今は次の「良い時」へ続く間の時期なのだと考えています。

 
 −田中選手ご自身も交通事故を起こされ、個人としても辛い時期だったと思いますが?
 これまでにも感じていたのですが、今回の事故を通じて、サッカーに関係ある人もない人も、いろんな人が心配してくれて、多くの人に支えて貰って今の自分が成り立っているのだなと、改めて想いを強くしました。とても心強かったです。ピッチの上で元気な姿を見せ、更には日本代表で活躍する事こそ自分ができる唯一の恩返しですので、来季に向けて尚一層頑張らなければいけないと思っています。
 
(横浜熱闘倶楽部より)

青字部分が隼磨のコメント部です。