神奈川新聞隔週連載・岡田監督のコラム「ふっと ライフ」

・新たなトライへワクワク
 いよいよ、あすからJリーグが開幕する。
 私にとっては、横浜F・マリノスに来て4年目のシーズンである。私は今まで指導者として不思議と一つのチームに3年以上いたことがない。ジェフ、日本代表、コンサドーレと。日本の場合、まだまだ中心選手の大型移籍というのは少なく、選手も監督も変わらないで長くチーム力を維持、進歩させるのは難しいものである。どうしてもマンネリ化してくるし、新たなトライを見つけることができず、また自分の中からもなかなか新しい物も出てこない。結局、選手も本人も同じことをするのに飽きてしまう。
 3年と意識していたわけではないが、自然と自分から出て行かなければならないと言う感覚があった。
 ところが、今年は今までとは全く違う感覚だ。指導者生活の中でも一、二を争うぐらい、シーズン前にワクワクしているし、面白いチームになるのではと楽しみでしょうがない。というのも、昨シーズン2年連続優勝の後を受け、上ばかり見て、よりレベルの高いチームにチャレンジしようとして散々な結果に終わったことで、新たなトライが足元にたくさんあることに気付かされたからである。
 「こういうチームづくりをしたらどうだろう」「こういう練習、戦術だったら」と次から次へと今までの自分の中での固定観念を打ち破るようなアイデアがわいてきた。
 私は、論理的に確率論的に選手を納得させ、チームの意思統一をして戦わせるのは、比較的得意な方である。今までずっとそういうチームづくりをしてきたし、当然ある程度結果も出やすい。しかし、そうやってつくったチームで結果が出ても、何か十分な満足感がない。何か面白くない。
 それはやはり、私が口では選手が生き生きと躍動するようなサッカーと言いつつ、ロジック(論理)で縛り、実際には選手にピッチの中で目を輝かせ爆発するようなプレーをさせていなかったからだと思う。今までそれが自分の限界かと思っていたが、ひょっとしたら限界を超えられるかもしれないと感じている。
 ロジックは大切だし無くてはならないが、今年はそのロジックを超えたサッカーがしたいと思っている。
 できるかどうかは、私にも分らない。やったことがない初めてのトライだから。初めてだから、結果が分からないからトライであり、ワクワク楽しみなのだと思う。
神奈川新聞より)

とりあえず、ずっと言いつづけてる事で新しい話は無いですね。まあ、第一回目ですから。